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年金用語解説 PENSION GLOSSARY

今後の課題

厚生年金のバランスシート

年金保険料を拠出すると、年金の受給権(政府からみると給付債務)が発生する。それを賄うために必要となる年金資産がどの程度用意されているのかはバランスシートで示される。10年3月末時点の厚生年金のバランスシートは、給付債務が合計で1660兆円、保険料資産1190兆円、積立金140兆円、国庫負担金330兆円(図参照)。負債と資産は合計額が一致。ただ、過去期間対応分(左側)では債務超過500兆円となっている。

 

若者の年金離れ

直近のバランスシート(→「厚生年金のバランスシート」)は健全であるものの、将来拠出対応部分をみると、保険料負担1190兆円の見返りとして用意されている年金給付は830兆円にすぎず、給付は保険料負担の70%程度(下図参照)。将来拠出に関わる若者はこのバランスシートを見て、年金保険料拠出意欲を失うおそれが強い。

 

企業の年金離れ

厚生年金の保険料負担総額は09年度で24兆円弱。この負担をこれから5年間、毎年ほぼ1.4兆円ずつ増やしていく。この負担増は日本経済の好・不況に関わりなく毎年定期的に実施される。その半額を負担する企業は雇用のリストラを一段と強めるだろう。正社員の数は減りつづけ、若者は労働力市場から締め出されてしまうおそれが強い。厚生年金から脱落・脱退する企業もますます増えていく。従業員の年齢別賃金プロファイルも一変する可能性がある。
企業は海外へ生産拠点を移す一方、雇用の場を海外に求める人も増えるだろう。負担増は企業や人の行動を変化させ、結果的に厚生年金の空洞化を加速させるおそれが強い。

 

受給開始年齢の引き上げ

保険料水準固定方式と給付水準固定方式の二つを同時に維持していくことは、早晩困難となる。受給開始年齢はいずれ米独並みに67歳、場合によっては英国のように70歳に引き上げざるを得ないだろう。

 

女性の年金

女性の年金はさまざまな問題を抱えている。例えば遺族年金における専業主婦優遇、再婚すると受給停止となる遺族年金、父子世帯には支給されない遺族年金、パートタイマーをはじめとする非正規労働者など(年収130万円以下の場合や労働時間・労働日数が正規従業員のそれの4分の3以下の場合、厚生年金は適用されない)。

 

民主党の年金一元化案

年金一元化を民主党が抜本改革案の重要な柱として提案。民主党案では自営業者も給与所得者も公務員も国会議員も専業主婦も同一の制度に加入。職業が変わっても加入する年金制度は変わらない。

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