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最近の年金ニュース
2015年の注目語年金の財政検証年金制度は5年ごとに最新の人口と経済の動向を勘案して、向う100年間の年金財政について収支バランスが保たれているかを検証する。この検証作業を財政検証と呼ぶ。直近の財政検証は2014年6月に行われた。前回と違って基本ケースは想定せず、8ケースの経済前提を設定したこと、制度改正オプションの試算結果を示したこと、に特徴がある。今回の検証結果によると、経済再生で実質経済成長率が高くなり、女性や高齢者の労働力市場への参加が一段と進む限り、給付と負担のあり方を検討する必要は生じない。他方、実質経済成長率がマイナスになり、女性や高齢者の労働力率が上昇しない場合、厚生年金におけるモデル年金の水準は早晩50%(法定済みの下限)割れとなる。ただし仮に将来、モデル年金水準50%を維持することができるとしても、年金水準は現行と比べて約20%ほど実質的に低下し、とりわけ基礎年金水準の低下幅は30%超となる。1人あたり基礎年金月額は30年後には4万5000円(社会保険料天引き後の手取りは3万円台)になっているおそれがある(2014年度の賃金価格表示)。年金財政の健全性は、このように給付水準の大幅な引き下げという犠牲なしには達成されない。ただ、年金の受給開始年齢を65歳超に引き上げれば、給付削減は小幅にとどめることができる。 オプション試算今回の財政検証では、(1)物価下落時にもマクロ経済スライドをフルに実施する、(2)厚生年金の適用範囲を最大で、月5万8000円以上の賃金稼得者すべてに拡大する(1200万人増)、(3)老齢基礎年金の算定基礎となる保険料納付期間(現行は20歳から60歳までの40年間)を65歳までの45年間に延長するとともに65歳以上の在職老齢年金を廃止する、の3つについても試算している。いずれのオプションでもモデル年金の水準上昇が確認された。とくに(2)と(3)における水準上昇は顕著であり、(3)の場合、45年拠出でモデル年金水準は約6ポイントアップとなる。 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)日本における公的年金の積立金(2014年3月末で129兆円弱)を運用する機関。その運用委員会は、国内債券中心の運用を見直し、国内株式比率(従来の目安は12%)を25%に引き上げると2014年10月末に発表した。上下の変動幅も6%から9%に拡大する。 |